破戒僧
仏教の戒律に「不殺生」という生き物を殺さないというのがあります。
これに従って、修行中は肉や魚を食べませんし、仏様への御供はそれらを供えません。
ですが、宿泊や普段の食事会では美味しいものを食べてほしいという気持ちと、
植物も結局は命だからこだわらずにということで魚肉を提供してきました。
約ひと月ほど前、海外のビーガンの方が泊まられました。
その際は、要望に応える形で普段と違う菜食料理を提供し、デザートの時間に「魚肉も植物も命であることに変わりなく、それを摂取しないということより、受け入れた上でいかに生きるかが大切ではないか」的なことを伝えました。
つい先日、子鹿を絞める手伝いの機会がありました。
怯えた大きな目、刃物を当てた時の最後の声、噴き出してくる血、開いていく瞳孔。
そして、取り出される肉。
厳粛とも言えるその経緯に、当たり前ながら「命を頂く」ということへの実感と、ひと月前に実感もなく偉そうに言った言葉への恥ずかしさがありました。
あれから少し経ち、 改めて思います。
心と命の繋がりを大切にし、自分らしく確かに生きていきたい、そして生きてほしい。
ひとりごとでした。 合掌